今週は出張もあったので、本をたくさん読めました
それにしても、海老沢さんの本を読んだのは久しぶりです
そのむかし、学生時代はF1グランプリに夢中になっていたので
氏の「F1走る魂」や「F1地上の夢」、「F2グランプリ」を読んで
その文体の簡明さや端的さを知っていましたし
なにより広岡達郎氏を主人公に据えた「監督」の大ファンでもありました
しかし、そのあと、いくつか発表された恋愛小説で失望してしまい
しばらく距離を置いていたのでした
その後、「帰郷」で直木賞を受賞したのでしたっけ‥
余談はさておき
海老沢さんはかつて、「みんなジャイアンツを愛していた」という
すぐれた野球文集を発表されていて、
その鋭い視点と分かり易い解説に感心したこともあって
その続編のような内容を期待して
タイトルの2冊を読んでみたというわけです
もっとも、わたしは巨人「軍」が大嫌いで
書名に惹かれたところもあるのですが
書名から、読者はアンチ巨人ファンの呪詛に満ちた
罵詈讒謗を予想されると思いますが
海老沢さんは冷静かつ論理的な文章家なので
感情的なものとはほど遠く
事実の積み重ねを基点として簡潔に
ジャイアンツ(=ナベツネ)の汚いやり口や
彼に唯々諾々と従うセ・リーグオーナーやコミッショナーの
ふがいなさを指摘しています
最終的には、ファンをも含めた
プロ野球界全体の腐敗した体質にまで内容は及んでいます
というかむしろ
プロ野球界にたいする警鐘がメインといえるでしょう
ことしは、オリンピックや球団の合併、裏金問題などの
きな臭い話題に事欠かない一年でしたが
ことし問題になった病理はすでに、これらの本で提示されています
あまり野球に過剰な思い入れのないわたしの考えですと
日本のプロ野球はもう末期的で手の施しようがないと思います
だからといって日本のプロ野球が消滅するとは思いません
もうすこし低い地点まで人気が下降し、
紆余曲折はあるものの
そのまま横這いで続いていくのではないでしょうか