現在、ボードゲームの本場は、いうまでもなくドイツです
ドイツのゲームは、ほとんど全世界のボードゲームに影響をあたえました
かつてのゲーム先進国、アメリカですら例外ではありませんでした
ところで最近、米国メーカーのFantasy Flight社が活発に新作を発表しています
同社は、寓話的な設定が多いドイツ製のゲームの、システムのみを採用し、
英米では人気の高い、実写的なSFファンタジー世界にテーマを移したものを
数多く発表していたのですが
昨年ころから、同社独自の動きをさらに加速させたように思います
それは、これまでのドイツの影響からすこし距離を置いた、
「英米ゲームへの回帰」とでも呼べるものではないかと考えています
Fantasy Flight社は近年、興味深いゲームを何作か発表していますが
そのなかのひとつ、「RUNEBOUND」は、かつての名作ファンタジーゲーム
「タリスマン」を彷彿とさせる長編のヒーロー戦闘ゲームです
また、「A GAME OF THRONES」は、原作ものながら、
かつてウォーゲーム界で一世を風靡した地政学マルチ、
すなわち「ディプロマシー」や「リスク」、「マキャベリ」などの流れを汲む
作風となっています
両ゲームとも、コンポーネントはドイツゲームを意識した、
見栄えのする豪華なものですが、
その中身は、明らかにこれまでの英米ゲームの嫡子と呼べるものです
さて、視線を日本に移すと、わが国のゲームは人生ゲームやモノポリー、
あるいは80年代のシミュレーションゲーム、TRPGからもわかるとおり
アメリカのゲーム界に強い影響を受けてきました
ここで懸念されるのは、日本人の感性は、まだまだドイツの価値観より
アメリカの価値観のほうを支持する可能性が高いということ
それはすなわち、ドイツのようなゲームの大衆性を志向せず、
かつての英米のようにゲームのマニア的志向へと、少しずつシフトする
おそれがあるということです
現在、Fantasy Flight社のゲームは、まだ日本でなじみが薄いようですが
同社のゲームが今後、日本のゲーマーに受け入れられたとき、
うれしさと同時にちょっと心配な気分になるのは、
たんなるわたしの杞憂でしょうか‥