いよいよ明日、歴史的な日本人同士の王座統一戦が開催されます
WBC王者井岡一翔対WBA王者八重樫東のミニマム級対決です
下馬評では井岡有利の声が多いようです
たしかに無敗王者を奪取したボディブロー、
そして大晦日の初防衛戦で魅せた初回KO劇と、
どちらも新しいヒーローを予感させる輝きを放っています
偉大なる叔父の威光すら霞むオーラを纏いつつある成長途上のチャンピオン
その眩しい光彩の影に隠れる形となってしまいましたが、
八重樫も尋常ならざるバック・グラウンドを経て今の地位を築いています
アマ・エリートで華々しくデビューし、
国内最短の世界奪取を目論みましたが全盛期のイーグル京和に惨敗、
以降は日本国内でライバル達に揉まれ、
引退の影に怯えながらも苦難の道のりを這い上がってきました
そして昨年の感動的な王座奪取劇
ハートの強さを観た者に強烈に訴える最高の試合でした
総合的に井岡が有利なことは確かです
攻防のバランスに優れメンタル面で弱みを見せたこともありません
勝負所を弁えたベテランのような試合運びもこなせます
穴のない完成度の高いボクサーといえるでしょう
一方の八重樫はその正反対の粗の目立つボクサーです
スピードはトップクラスながらガードに甘さがあり、
攻撃力も井岡ほどの一撃必倒を備えているわけではありません
前回のタイトルマッチでは後半にペースダウンしたのも不安を掻き立てます
しかしわたしは八重樫が勝利すると予想します
彼の直近のコメントを見ると己自身を正確に理解しているように思えるのです
強がらず弱気にもならず、相手に対しても萎縮しない
等身大の自分に対峙し対話できるボクサー
これは強いぞ、と思わされます
言うなればそれは、
過去の辛酸や危機を糧にして初めて得られる境地ですから
未だ若く、大きな挫折を知らない井岡には恐らく未到の世界です
ボクシングの最高峰の試合において、
その視界の差は即座に勝敗を決するものではありません
両者に世評通りの実力差があれば、
その違いは表面に出ることなく、
WBA王者はマットに這いつくばることになるでしょう
しかしもし、試合が拮抗し終盤までもつれたとすると、
わたしたちは、その小さく見えて実は大きな差を、
厳然とした形で目撃することが出来るかもしれません