バンタム級時代は“怪物”とまで畏れられた長谷川穂積が、
今晩の世界戦で屈強のチャンピオンから幾度かのダウンを奪われ、
7回、静かに崩れ落ちました
試合は近年の過去数戦と同じ展開
ムキになって接近戦での打ち合いに応じ、
ガードの下がった隙を突かれ強打に屈するという内容
長谷川自身も、多分気づいていたのかもしれません
無敵を誇ったバンタム級時代のイメージ、
即ち、攻め一辺倒で対戦相手を圧倒してしまうボクシング‥から、
結局、最後まで払拭出来なかったことを
ウィラポンから王座を奪取した頃の彼は、
攻防に冴えたセンスを対戦相手に見せつけたスピードスターでしたが、
やがて長谷川が云うところの「神の領域」を意識するようになりました
それはまるで、太陽に近づきすぎたイカロスのように、
彼から変幻自在なスピード・ボクシングを奪ってしまったのかもしれません
しかしこんな理屈は所詮、愚かな結果論に過ぎません
今はただ、長谷川が長きに渡り築き上げてきた輝かしい功績を、
彼と同時代を生きた悦びと共に讃える、
それに尽きるのだと思っています