いよいよゴングが明日に迫りました
とても笑顔の素敵な世界王者、八重樫東選手に、
既に伝説的な強さを誇る無敗のニカラグア人、ローマン・ゴンザレス選手が挑む一戦です
通称ロマゴンと呼ばれる、カカオ色の肌をした若者は、
何年も前から日本のボクシングファンの間で有名な存在でした
当時、世界王者だった天才、新井田選手を序盤でKOし戴冠して以来負け知らず
しかも見渡す限り目に付く近い階級の強豪を片っ端からねじ伏せてしまった結果、
3階級制覇を目指す今では対戦相手に事欠くどころか、
各団体の王者ですら試合を避ける様な無双の状態でした
そして試合の拒否されるも仕方ないと思える程、試合内容は圧倒的です
ハードパンチャーでありながら強振に頼らず動きも滑らか、
緻密で的確な戦術眼を持ち、実力の違いを見せつけるかのように損耗させ、
対戦相手の約9割がKOで屠されています
現段階で実力の底を見せていない上に年齢も20代半ばで成長の途上
弱点の無い完璧なボクサーと云っても強ち過言では無いでしょう
一方の八重樫はアマエリート出身ながら、
世界初挑戦でイーグル京和にアゴを砕かれ惨敗を喫し、
その後も幾つかの苦杯を嘗め、引退を意識しながらも、
現在の地位まで這い上がってきた異色のボクサーです
しかしこの波瀾万丈のキャリアが、
彼のボクシングを深淵かつ柔軟なものに変貌させました
アマの技術をベースにした機敏なアウトボクシングから、
近年の彼の代名詞となった『激闘王』としてインファイトに応じることもできます
しかも賢い彼は、試合中にこのスタイルを切り替えることすら可能
予想では云うまでもなくロマゴン有利なのは否めません
でもわたしは、インタビューで「生き様を見てほしい」と話していた八重樫選手が、
その言葉とは裏腹の、悲壮感だけではない勝算があると信じています
ロマゴンは余りに危険な選手ですので、
実力を出し切る前にアクシデント的な決着となる危険はありますが、
それさえ無ければ、ロマゴンを大いに苦しめることになると思います
特に序盤から中盤まで拮抗し相手を焦らすことが出来れば、
八重樫の土俵と云える死闘に持ち込み、
勝敗は女神頼みのコイン・トスになるかもしれません
それにしても、西岡対ドネア以来の本物同士による至強の一戦になることは必至です
ジムの大橋会長がいみじくも語っていたように、
当代最強の相手と雌雄を決することができるということに、
ファイターとして至幸を感じることができる八重樫選手を、
結果の如何に関わらず、わたしは心から応援し見守りたいと思います