今日は一日中雨でした
こんな天気のなか、ビデ足場を登るために傘も差さず、
ずぶぬれになって屋根までたどり着きました
屋根には一匹のクモが巣を張っていたようです
心の動かされる音楽は、自分の心性を見つめ直す機会を与えてくれますが
より漠然としていながらも何かしらのイメージを喚起させる音楽もかけがいのないものです
なぜなら想像力は人間だけが生みだせる叡智の極みですから‥
今よりずっとずっと若かった頃、異世界の幻想小説を愛読していたわたしにとって、
そのような音楽は、この世界のほとんどの出来事より大事に思えたものです
そんな、不思議なイメージの輪郭をたくさん与えてくれたアルバムが
ブライアン・イーノの「ビフォア・アンド・アフター・サイエンス」です
10曲の楽曲と、そして4葉のリトグラフで構成されたこのアルバムは、
後に環境音楽へと傾倒するイーノの過渡的な作品といわれています
確かに、エキセントリックな実験音楽からスタイリッシュな環境音楽へと変遷していく様子が、
趣の異なる多様な楽曲に表れているようです
しかしわたしがこのアルバムを愛する理由は、音楽が過度な主張をせず、
まるで聴き手の抱くイメージに、曲そのものを委ねてしまっているかのような、
心地よく自由な浮遊感にあります
これは本当に微妙なバランスで成り立っていると思っています
ロックほど自己主張が強くなく、環境音楽ほど退屈で無機なものでもありません
当時のイーノが試行錯誤と次々と浮かんでくるイメージの果てに創りだした幸福な音楽は
きわめて70年代らしい、今ではけっして聴くことのできない音楽でもあります
このレコードから最後の曲を選んでみました
わたしは、この詞だけでも鮮明に情景が浮かんできます
みなさんは、いかがでしょうか
Spider and I
Spider and i sit watching the sky
On a world without sound
We knit a web to catch one tiny fly
For our world without sound
We sleep in the mornings
We dream of a ship that sails away
A thousand miles away