たったいま、観おわったところです
試合の趨勢は、再起初戦にもかかわらず世界タイトル戦を決断した
徳山の状態次第で決まると思っていました
長期のブランクに加え、パンチ力増強の為に肉体改造まで行った徳山の
ボクシングスタイルに変化があるのかどうかということです
チャンピオンの川嶋はどんな相手でもスタイルが変えることができない
無骨なファイターですが、幾多の激戦の経て確実に成長しています
いずれにしても、前回のような短期KOの可能性は薄いと考えられます
試合は徳山のペースで進みました
ブランクの影響など、まったく見られません
肉体改造の影響でスピードが落ちることもなく、巧みなフェイントを織り交ぜ、
位置取りの妙を活かした頭脳的なボクシングを展開します
特に、「槍のような」左ジャブが復活しており、これが試合を通じて有効に働いていました
もちろん、良いタイミングで放つ右ストレートも健在でした
一方の川嶋は、序盤は焦らずに徳山の動きの落ちるのを待ち、
中盤から勝負をかけるというような戦略だったようです
7Rくらいから明らかに圧力を増して徳山との距離を縮めます
有効な強いパンチもいくつか入りました
ただ、いずれも単発でペースを崩し切れません
終盤に入り、徳山の動きが急に落ちていきますが
巧みなクリンチワークと入り際の右ストレートでかわされてしまいます
さらに川嶋自身が焦りと疲労で大振りになってしまっては苦しい
最終12Rにスリップ気味のダウンを奪ったものの、
最後まで自分のペースを取り戻すことができませんでした
判定の結果は3-0、徳山がタイトルを奪還しました
徳山の巧みでクレバーなボクシングが完全に復活していたうえ、
川嶋得意のハードパンチが大振りになってしまったとあっては、
川嶋の勝ち目は薄かったといえるでしょう
徳山は本来のスピードを失わず、当たり負けしない頑強な体躯を得ることに成功しました
スタミナは犠牲になりましたが、根性でしのぎきりました
今回の試合、わたしは判定の結果ほど大差はついていない、ぎりぎりの勝負だったと思います
徳山は試合に備えて自らに賭したギャンブルに勝利しましたが、リスクは高かったでしょう
新チャンピオンにとっては、試合前に設定したさまざまな試練を乗り越えた時点で、
すでに己の勝利を確信していたのかもしれません
それほど自信に満ちた、復活劇でした