溜まっている他の本を差しおいて読み始めました
あまりの面白さに昨夜夜更かしをして8割ほど読み進み、
今日の午前中で読了してしまいました
文字どおり血湧き肉踊る冒険小説、そしてファンタジーの傑作
登場する動物たちはみな、それぞれ個性的な人語を話すのですが、
実際の仕草はあくまで動物のそれであって変に擬人化されておらず、
丁寧な描写できちんと表現されていますので、
読者にもネズミたちの動きが容易に想像できるのです
藪内正幸の素晴らしい挿し絵も想像を助長させてくれます
そして、物語を通して常に伝わってくる切迫感や絶望感は、
指輪物語のそれと同質のものを感じました
どんなに笑いや希望に満ちた場面でも、
行き着くところは絶望との対峙に他なりません
そして物語では冒険の危険そのものよりも、
冒険を放棄し食料や休息を得たいという誘惑から逃れようとする、
ネズミたちの奮闘と葛藤に重きが置かれています
その安寧に抗おうとする緊張感と敢闘精神が、
物語に堪らない感動を呼ぶのです
そして3度にわたるノロイとのやり取りのシーンは、
白く気高い存在で弁舌と狡知に富んでいるという共通点だけでなく、
甘い誘惑と、それにたいする反撥のさまが、
イセンガルドでのサルーマンと旅の仲間たちとの対決を想起させます