朝の切れるような寒さは続いています
空に青さが戻ってきていますが、
冷えこみが薄い白刃のように透いていて、
やはり冬の空を感じさせます
そんな空の下、
一人のロック・ミュージシャンの死亡認定がニュースとなりました
マニック・ストリート・プリーチャーズの作詞家にしてギタリスト、
リッチー・ジェームスです
1995年、雑誌で読んだと思われるわたしの記憶では、
"I love you"のメモを残して失踪
元々、自傷など精神的な問題を抱えていた彼の安否は、
当時から絶望視されていたように思います
忘れていたようでいて、微かな棘のように思い出す存在でした
当時愛聴していた"Holy Bible"の記念版を、
昨年、思い出したように買って、あらためて聴き直していましたし、
最新アルバムを数年遅れながらも、たどたどしく追いかけていたのです
マニックスの音楽は、音だけの印象ですと、
メロディアスなブリティッシュ・パンクで、
熱に浮かされるほどの魅力は無いのかもしれませんが、
絶望と攻撃性、哀しみと愛憎をコインの表裏のように同居させたような、
とてもあやうい知性の感じられる饒舌な歌詞をひとたび読むと、
わたしにとって、唯一無二の存在へと変貌したのでした
しかしなにより、一番印象に残っているのは、
解散宣言撤回の際に発表された声明文です
wikipediaにも掲載されていますが、
これほどナイーヴな表現で自己を正当化するバンドはもう出現しないでしょう
"人間性は常に君を落胆させる"
"愛は残骸を残し、憎悪は不変性を残す"
"そして僕は今もそのほこりにまみれたままでいる"
リッチー、君は今もほこりにまみれているのだろうか‥