学生時代の友人と1年ぶりに再会しました
前回会ったときも1年ぶりだったように記憶しています
つまり、それくらい疎遠になりつつも、
それでもやはり会いたくなってしまう人物だったりするのです
其れはさておき、会場は友人の行きつけの焼鳥屋だったのですが、
わたしは車、友人は酒断ちしているということで、
ふたりともノン・アルコールという珍しいお客になってしまいました
気になる近況ですが、まずは健やかに働いているようでした
その友人は好人物であることは間違いないのですが、
このわたしですら心配になってしまうほど不器用な面があることに加え、
ちょっとばかりユニークな性質も災いしたのか、
世知辛い社会のなかで、苦労を重ねてきたようです
しかし彼は、愚痴や他人の悪口を決して言わない人物なので、
その辛い形跡を、表情からまったくうかがうことはできないのでした
結局、話題はいつものように学生時代の昔話で終始しました
正直なところわたしは、かれこれ何年も続いている
過去の話のくり返しに辟易しているのですが、
わたしに昔話を語っているときの、
彼の楽しそうな表情を見ていると、つい相づちをうってしまいます
過去の旧きよき思いで話の立会人になるのも悪くない、と思ってしまうのです
彼にとってわたしはどうやら、
過去へ通じる扉の鍵のような存在なのかもしれません
そして、1年にたった1度だけ、過去にひたる扉を開く
そのささやかな楽しみを、
わたしはこれからも奪うことはできないでしょう